電界強度に合わせてアンテナを選ぶべき？購入・設置前の確認事項
放送電波の強さを表す目安に「電界強度」というものがあります。アンテナの設置工事や修理について調べている最中に、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。アンテナ選びの際には、八木式アンテナやデザインアンテナといったアンテナの種類に目が行きがちですが、実はこの電界強度も重要な判断要素のひとつです。
今回は、最適なアンテナを選ぶための必須知識である電界強度について、基本知識から調べ方まで幅広く解説します。八木式アンテナやデザインアンテナなどアンテナの種類と併せて覚えておきましょう。
「電界強度」とは？
電界強度とは、アンテナを設置している建物がある地域に届いている放送電波の強さを表したものです。地デジ放送を視聴するためには、発信所や送信所から届く放送電波をアンテナで受信しなければなりません。
「放送電波の発信所・送信所からアンテナまでの距離」や、「発信所・送信所とアンテナの間にある障害物」などの要因で電界強度に違いが発生し、受信する放送電波の強弱により、大きく以下の3つに区分されます。
- 弱電界地域＝電波が弱い
- 中電界地域＝普通程度
- 強電界地域＝電波が強い
発信所・送信所からアンテナまでの距離が近く、両者の間に電波を妨害するような高い建築物や山がない場合には強くなる傾向に。反対に、発信所・送信所からアンテナまでの距離が離れており、両者の間に遮蔽物が多い場合には弱くなる傾向にあります。
「電界強度」に合わせてアンテナを選ぼう
アンテナ選びの際には、八木式アンテナやデザインアンテナといったアンテナの種類だけではなく、電界強度も加味しなければなりません。それぞれのアンテナが持つ特性を理解した上で、お住まいの地域の電界強度に合わせたアンテナを選びましょう。
八木式アンテナ
八木式アンテナは、屋根の上に設置されている魚の骨のような形状をしたアンテナです。日本では最もポピュラーなタイプであり、屋上や屋根の上など、遮蔽物の少ない高い場所に設置されるため、弱電界地域での設置に適しています。
デザインアンテナ
デザインアンテナは、住宅の壁などに設置するアンテナのことで、壁面アンテナとも呼ばれます。薄い長方形を模した箱型の形状で、壁の色や好みに合わせてカラーも選ぶことができる、デザイン性に優れた人気が高いタイプです。低い壁や屋根の内部に取り付けた場合は、屋根の上に設置する八木式アンテナと比べて電波を受信しにくいため、弱電界地域での使用には注意してください。
また、1人暮らしなどでよく使用される室内アンテナは設置工事の必要はありませんが、電波の受信が不安定なため、弱電界地域で使用するとトラブルが生じる可能性もあります。
「電界強度」の調べ方
自宅がある地域の正確な電界強度を知りたい場合には、アンテナ工事の専門業者に依頼して調査をしてもらう必要があります。とはいえ、新しい住まいを探している最中に、気になる地域の電界強度を知りたいという場面があるかもしれません。そのような場合には、該当エリアにある住宅に設置されているアンテナに注目し、電界強度の目安としてください。
近隣にある住宅の屋根に設置されている、八木式アンテナの素子の本数を確認する
近隣にある住宅の屋根に設置されている、八木式アンテナの素子（魚の骨のような形状をした棒）の本数を確認してみてください。本数が多ければ多いほど、弱電界地域の可能性が高くなります。大まかな目安は、以下の通りです。
- 14本程度＝強電界地域
- 20本程度＝中電界地域
- 26本程度＝弱電界地域
居住区域内に多く設置されているアンテナの種類を調べる
居住区域内に多く設置されているアンテナの種類からも、電界地域の強弱が判断可能です。壁面（デザイン・フラット）アンテナや、素子本数が少ない八木式アンテナが多く設置されている地域は、強電界地域であると考えられます。
「電界強度」が弱い場合の対策
電界強度の強弱は、「ブースター」の有無にも影響を受けます。電界強度が強くない地域であれば、ブースターの設置が必要です。また、電波状況が良い地域であっても複数のテレビに信号を分配しなければならない場合には、ブースターを設置し、電波を強くさせると安定してテレビを視聴することができます。
まとめ
新築住宅にアンテナを設置する場合には、デザイン重視のアンテナ選びになりがちです。設置後のトラブルを避けるためにも、電界強度に適したアンテナ選びが重要である以外にも、設置位置の電波状況を正確に計測する必要があり、正しい電界強度を調べる際にはレベルチェッカーなどの専用機器を使用しなければなりません。
設置する地域に確実に適応するアンテナを選ぶためにも、アンテナ工事の専門業者に依頼し、確実で安心な設置工事を行うことをおすすめします。
